1999
导演:イタロ・カルヴィーノ
作者の死後に遺されていた自伝的作品をより集めて一冊の本という形にまとめたもの。 [サン・レモ]の思い出をつづった表題作にはじまり、三〇年代のアメリカ映画に熱中した少年時代を回想する「[* ある観客の自伝]」、[パルチザン]の一日を切り取った「[* ある戦闘の記憶]」、ゴミ出しを切り口に現代都市のありようへ思いをはせる「[* 公認のゴミ箱]」、[サン・レモ]時代の記憶と現在を行き来しながら、目に見える風景について思索を深める「[* 不透明なところから]」が収められている。 カルヴィーノはその晩年に、自伝という形式の可能性について何度も触れているが、生前にはついに作品としてまとめることができなかった。この不完全な作品集からはそれでも、自らのルーツと記憶と向き合おうとする作家の姿勢が読み取れる。